東京日記

痛々しさをつめこむ+現実的になるためのメモ

【本】二十歳の原点

1970年代的なものになんとなく惹かれる。インターネットがなかった時代。今の私と同じ世代の学生が「社会と実存の間で引き裂かれていた」時代。今よりも遠くの他者が同じ時代に考えていることを知ることが難しかった時代に社会の常識を疑い考え行動した若者に、同時代を生きる若者に対してよりも共感と憧れを抱くから、時代背景に惹かれる。

そんなときに出会った高野悦子二十歳の原点』。1969年に20歳になった筆者が、半年後に自殺するまでの日記。時代柄学生運動に関わっていくところが注目されがちだが、私はそこに本質的なものは読み取れなかった。


成人に際し自らの未熟さと孤独を認識し世間に対してしっくりこないものを感じながら、自分を律しようと意志を固めるところ。行動しなければ、と焦燥にかられながらも意見を固めるに苦労するところ。異性に幻想を抱いていることを自覚し悶々と考えるところや、哲学的で聡明な唯一といえる友の存在、惹かれる異性のタイプまで、自分の中で彼女に似ている部分を意識させられずには読めなかった。たまに出てくる感性が強めの私の一部の人格に、生に対する真摯さと激しさを加えたら、ものすごく似ているはずだ。


この日記が救いになるというのは、どういうことだろう。どのように生きれば死なずに生きていけるかという示唆を与えてくれることだろうか。


私はきっと、孤独と矛盾と未熟を捉える感性を青年期に特有のものとして、生活のために矛盾から意図的に目をそらしつつやり過ごすことを選ぶだろう。学生運動のあと何事もなかったように「社会」に適応していった数多の名もなき学生のように。矛盾に決着をつけるために徹底的に行動することにも、思考することにも、私は耐えられそうにない。

二十歳の原点 (新潮文庫)

二十歳の原点 (新潮文庫)

  • 作者: 高野悦子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/05



社会学にできること (ちくまプリマー新書)

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