東京日記

痛々しさをつめこむ+現実的になるためのメモ

電車が好き

電車が通り過ぎるのを眺めるのが好きだ。特にカーブしながら駅を通過していくのが。直線の組み合わせが少し離れただけで綺麗なカーブに見えるのがたまらない。  


視覚的な美しさとは別に、電車が好きな一つの理由は、地元に住んでいたときに、どこか遠くへ連れて行ってくれるという希望を託していたことや、それに伴っていた都会への憧れを思い出すからだと思っている。山手線は特に、家族で旅行に来て親の背中について行ったときのわくわく感、渋谷から原宿まで切符を買って乗った修学旅行のときの楽しい緊張感、引っ越してからの自分が東京に住んで日常生活の足として山手線に乗っていることが信じられない気持ちなど、節目節目の思いが詰まっていて、今でもホームに立つとなんとなくそわそわした気分になる。


でも、自分が東京に住んでいることへの違和感がいつのまにかなくなったことに気づいた今、既に少しずつそんな気持ちも薄れてきている気がしていて、それが完全に消えてしまったとき、私はそれでも電車が好きなのだろうか、自信がない。子どもの頃の原風景のような感慨は忘れてしまっても、代わりに今の生活の思い出とともに、山手線とは別の路線や駅がしみじみと懐かしく思えるようになるのかもしれない。それはそれでいいな。